大学有機化学基礎問題①

有機化学基礎問題

問題:以下の反応について合理的な反応機構を考えよ。

解答

(1)

NaOHから生じる水酸化物イオン(–OH⁻)は強い求核剤であり、カルボニル基の電子分極によって正に帯電した炭素を攻撃する。攻撃によりカルボニルのπ電子は酸素に移動し、四面体中間体が形成される。この中間体は不安定で、酸素が再びπ結合を作ろうとするためカルボニル基が再生し、その際に脱離基である-OMe基が押し出される。

(2)

Fisherエステル合成

カルボン酸とアルコールから、酸触媒存在下加熱条件にてエステルを合成する反応。

ポイント:基本的にすべて平衡反応であるためアルコールを過剰量用いる、もしくは、生成する水を除きながら反応を起こすことで収率を向上させることができる。

(3)

塩化チオニルを用いるカルボン酸の酸塩化物反応。

ポイント:反応中に二酸化硫黄(SO2)と塩化水素(HCl)が副生成物として発生するため、ドラフト必須である。また、この副生成物の脱離過程が不可逆となり反応が進行する。

カルボン酸誘導体の反応性

酸塩化物は、酸無水物・エステル・アミドなどに、容易に変換することが可能である。

(4)

Grignard反応

カルボニル化合物にアルキル基を導入する反応。

ポイント:エーテルは脱離能の高い-OMeを持つため、2等量のグリニャール試薬を加えると2回のグリニャール反応が起こり、エーテル→ケトン→アルコールへと最終的にアルコールへ変化する。

(5)

Grignard反応

ニトリルはグリニャール反応からの加水分解により、ケトンへと変換される。この過程はカルボニル化合物のグリニャール反応と違い、中間体としてマグネシウムイミン塩が存在しやすい点が特徴である。

ポイント:イミン中間体の生成や加水分解条件。イミンが十分に水と酸によって加水分解されないと目的のケトンが得られない。したがって反応後の酸性処理でイミン塩がケトンに変わることに注意すること。

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